看護師として後悔している?辞める前に考えるべき5つのこと

2024.12.19

看護師として公開している?辞める前に考えるべき5つのこと

看護師になったものの、現場でのストレスや業務量に圧倒され、「こんなはずではなかった」「看護師にならなければよかった」と感じていませんか?実際に、看護師という職業は患者さんの命を支える大切な役割を担う反面、その責任の重さや業務の多さから心身に大きな負担がかかることも事実です。

この記事では、看護師として後悔を感じている理由や、後悔しないためにできる具体的な対策をお伝えします。この記事を読むことで、今後のキャリアをどうするかについて前向きに考えるきっかけになることを目指しています。

看護師になったことを後悔している理由は?

日本労働実態調査によると、6割以上の看護師が仕事に強いストレスを感じていることがわかっています。看護師の仕事のなかでも、患者さんの命にかかわる「責任の重さ」や交代制勤務による「身体への負担」はストレスがかかり、看護師になって後悔する要因のひとつです。

看護師の後悔の理由は経験年数によって異なります。それぞれの状況に合わせて詳しい理由を解説します。

新人看護師はなぜ後悔するのか?

新人看護師は、実際の現場に出たときに「リアリティショック」や「職場の人間関係」で悩むことが多いです。

看護学校を卒業して「こんな看護師になりたい」と希望を持って臨床の現場に出ますが、予想以上の忙しさや厳しい指導に直面し「看護学校で学んだことと違う」と感じることがあります。その理由は、医療の高度化や在院日数の短縮化など「臨床現場で必要とされる実践能力」と「看護学校で習得する看護実践能力」との間に差が生じていることです。これにより「看護師になるべきではなかった」という後悔が生まれます。

「新たな看護職員の働き方等に対応した看護職員需給推計への影響要因とエビデンスの検証についての研究」分担研究報告書(令和2年度)|厚生労働科学研究費補助金(地域医療基盤開発推進研究事業)

新人看護職員研修ガイドライン【改訂版】|厚生労働省

若手看護師の後悔の理由とは?

2~4年目の若手看護師は、「業務以外の役割負担」が増えることで後悔を感じやすいです。新人指導やリーダー業務を求められるようになり、通常の看護業務に加えて新たな負担が発生します。この負担の増加が「看護師としてのキャリアは自分に合っていない」と感じさせることにつながります。求められる責任やプレッシャーにより、精神的な負担も大きいです。

「新たな看護職員の働き方等に対応した看護職員需給推計への影響要因とエビデンスの検証についての研究」分担研究報告書(令和2年度)|厚生労働科学研究費補助金(地域医療基盤開発推進研究事業)

中堅看護師が抱えるストレスとは?

6~9年目の中堅看護師になると、「人間関係のストレス」が主な後悔の原因です。中堅看護師は、責任あるポジションを任されることが増えるとともに、上司や後輩とのコミュニケーションが難しく感じられることがあります。

また、新卒から看護師に就職し中堅看護師に当てはまる20~30代では、結婚や出産といったライフイベントが離職の要因に挙がります。仕事の負担が大きくなるとともにプライベートの時間が減少し「家庭と仕事の両立ができない」という不満が生じるのです。

「新たな看護職員の働き方等に対応した看護職員需給推計への影響要因とエビデンスの検証についての研究」分担研究報告書(令和2年度)|厚生労働科学研究費補助金(地域医療基盤開発推進研究事業)

2022年度「ナースセンター登録データに基づく看護職の求職・求人・就職に関する分析」 結果|日本看護協会

ベテラン看護師の後悔とは?

経験年数が10年以上のベテラン看護師は、「責任の重さ」が一層の負担となります。患者さんの緊急対応や看護研究、委員会活動などの中心的な役割を任されることが増え「もう少し軽い仕事をしたい」と考えることが多いです。

日本看護協会の調査では、ベテラン看護師に当てはまる50~60代の離職理由に「自分の健康(主に身体的な理由)」が上位に入っています。夜勤や交代制勤務による身体への負担を感じやすく、看護師になったことを後悔することがあります。

「新たな看護職員の働き方等に対応した看護職員需給推計への影響要因とエビデンスの検証についての研究」分担研究報告書(令和2年度)|厚生労働科学研究費補助金(地域医療基盤開発推進研究事業)

2022年度「ナースセンター登録データに基づく看護職の求職・求人・就職に関する分析」 結果|日本看護協会

看護師を辞める前に考えてほしいこと

看護師を辞める決断をする前に、後悔しないよう以下の5つのことを検討してみましょう。

  1. 休暇を取ることで状況を見直す
  2. やりたい看護を明確にする
  3. 自分を見つめ直す
  4. 病院以外で働く選択肢を知る
  5. 他業種の友人に話を聞く

それぞれ具体的に解説します。

1. 休暇を取ることで状況を見直す

疲れやストレスが溜まった状態では、冷静な判断ができません。まずは有給休暇を活用し、心身をリフレッシュすることが大切です。自分の好きなことをして過ごすと気持ちの切り替えができ、今後のキャリアをどうするかについても落ち着いた状態で考えることができます。

看護師として働くうえで、ストレスを感じることは避けられません。今後のキャリアについて考える際には、ストレス管理の重要性を認識し、自分のメンタルヘルスを保つ方法を見つけることも大切です。

2. やりたい看護を明確にする

「急性期が好き」「患者さんとじっくり関わりたい」など、自分のやりたい看護は人によりさまざまです。もし特定の業務が自分に合わないと感じる場合、異動願いを出して他の部署で働くことを検討しましょう。手術室やICU、訪問看護など、通常の病棟業務とは異なる環境に身を置くと新たなやりがいを見つけることができるかもしれません。

やりたい看護を明確にすることで、専門看護師や認定看護師など専門資格の取得を目指すきっかけになる可能性もあります。看護師としてのキャリアの選択肢を広げることができるでしょう。

3. 自分を見つめ直す

看護師としてのキャリアに満足していないと感じたら、自分自身を振り返りましょう。「なぜ看護師を目指したのか」「どんな看護がやりたいのか」自分の目指す看護を再考し自己分析を行うと、今後の方向性を見つけることができます。

また、これまでの看護師としての経験を振り返ってみるのも効果的です。患者さんに必要なケアを適切にできるようになったことや、チームでの連携がスムーズになったことなど、自己成長を実感する場面を振り返ります。自分の成長や学びを大切にし、自分の看護観を改めて考えてみてください。

4. 病院以外で働く選択肢を知る

看護師の職場は病院だけではありません。訪問看護やクリニック、保育園、介護施設など、多様な場所での勤務が可能です。病院以外で働くことで、違ったやりがいや環境を体験することができるかもしれません。

看護師の仕事は、医療の進歩や患者さんのニーズの変化にともなって、今後ますます多様化していくことが考えられます。病院以外でもさまざまな分野での専門知識やスキルを身につけることで、今後のキャリアにも幅が生まれます。自分の興味関心に合わせて研修やセミナーに参加してみてください。

5. 他業種の友人に話を聞く

他の業種で働く友人に話を聞くことで、異なる職場の文化や働き方を知ることができます。新たな視点を得ることにより、自分のキャリアに対する考え方が変わる可能性があります。

また、同じように仕事に悩む友人と話すことで共感を得られると、ストレスの緩和にも効果的です。自分の気持ちを整理できるきっかけとなり、気持ちの負担を軽減できるかもしれません。

看護師を辞めて後悔することもある

看護師になったことを後悔し、悩んだ末に辞めることを選択しても、実際には「辞めなければよかった」と後悔する可能性もあります。

看護師を辞めて後悔する理由は次のとおりです。

  • 給与が下がる
  • 仕事内容に馴染めない
  • 看護師への気持ちが復活する

看護師を辞めたあとの自分の想像と現実が異なることは誰にでもあり得ることです。しかし、転職を繰り返すことは精神的にも負担になります。

看護師を辞めて後悔しないためにも、前項で紹介した5つのことをじっくり考えてみてください。

看護師の離職防止への取り組み

今後の少子高齢化にともない、国は看護職員の人材確保に向けて次のような取り組みを行っています。

  • 院内保育所の運営
  • 両立支援等助成金
  • 看護職員処遇改善補助金
  • 看護職員の夜勤負担軽減策

医療機関により体制は異なりますが、看護師の職場環境の改善が進みつつあります。

看護師を辞める前に、自分の負担が軽減できる仕組みがないか調べてみてください。

看護師等(看護職員)の確保を巡る状況|厚生労働省

理想の生活ややりたい看護について考えてみましょう

看護師は「命を預かる責任の重さ」や「交代制勤務による身体への負担」などによりストレスがかかる仕事です。やりがいのある仕事である一方、心身に負担を抱える方もいるのが事実です。

看護師資格は一度取得すればなくなることはありません。看護師を選んで後悔したり悩んだりしたときには、すぐに決断せず今後のキャリアをどうするかについて焦らず考える時間を持つことが大切です。

理想の生活ややりたい看護についてもう一度考え直し、次のステップへと進んでみましょう。

「この記事を読んで、あなたが後悔のないキャリア選択を実現できますように。」

参考文献

転職 ナースジョブラリー ナースジョブラリー公式アカウント